バックパッカーの放浪野宿旅日記

交点

翌日、オレとさとるさんは二日酔だった。

 

お遍路を廻っている間はずーっと缶ビール、いや発泡酒だったのに、昨日は祝いだからと生ビールをキャパ以上に飲んでしまったのだ。

 

むくんだ顔で挨拶を交わし、さーこれからどうしようかと相談する。

 

「私は高松まで戻って、そこから実家へ帰ります。じゅんくんはどうしますか?」

 

「じゃー自分も高松まで一緒に行っていいですか?そこからバスでホームレスの所へ戻ります。」

 

さとるさんには次の計画があった。

 

それは実家のある茨城から今度は、バイクで野宿をしながら屋久島を目指すらしい。

 

オレは・・・

 

計画らしい計画は無かったけど、あの場所へ戻らなくてわっ! みたいな使命感を抱いていた。

 

おかしな話だが、それが兄さんに出会ったオレの「責任」に思えたのだ。

 

高松でお互いバスのチケットを買い、いいよ別れの時。

 

バスに乗り込むさとるさんと握手を交わす。

 

「さとるさん、オレ出会えて良かったっす。バイク旅気をつけて行ってきてください!」

 

「私もじゅん君と出会えて良かったです。いい旅を! また、どこかで!」

 

「また、どこかで。」

 

どこかで偶然、誰かと出会う事なんてきっと無いのだと思う。

 

偶然はない。

 

あるのは必然でそこには意識があった。

 

今、今現在のオレの精神や魂がさとるさんをオレの前に運んできてくれたのだ。

 

あるいはさとるさんにも、そうだったのかもしれない。

 

オレらは旅人で旅を通して成長していく存在だった。

 

いや、成長を望む存在の方が正しいかもしれない。

 

自分たちで位置づけた存在の意味が、毎日交点を持ちつつ、すれ違っていく無数の出会いのチャンスを出会いにしていた。

 

そしてオレは直感的に、旅人であることが惰性になってしまった時、あるいはただの逃げ道になってしまった時、成長へと繋がる学びは見失われてしまうだろうと感じていた。

 

さとるさんを送り出し、数十分後に出発した高速バスの中でそんなことを思っていた。

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